大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和29(オ)698 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告理由第一点における所論の仮定抗弁は、訴外Dが被上告人の代理人として上

告人らに本件土地を売渡した事実を前提とするものであるところ、原判決は、右売

渡の事実を認められないとしているのであるから、所論争なき事実を前提とする上

告人らの主張につき判断の必要がないこと当然であるから、所論は理由がない。

同第二点所論の民法第一一〇条及び第一一二条の表見代理に関する規定の適用あ

るがためには、訴外Dが被上告人の代理人として上告人らとの間に所論売買を締結

したか少くとも訴外Dが被上告人の名において右売買を締結した事実があることを

要すべく、原判決が訴外Dにおいて被上告人の代理人として上告人らとの間に売買

契約をなした事実を認められないと判示していること第一点につき記載するとおり

であり、右売買が被上告人を売主とするものでなく訴外Dを売主とするものである

ことは上告人らの自ら主張するところであるから、かかる場合前記法条適用の限り

でない。論旨引用の大審院判例は本件に適切でない。論旨は採るを得ない。

同第三点は証拠の採否ないし事実認定を非難するに帰し適法な上告理由と認め難

い。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

- 1 -

裁判官 入 江 俊 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!